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死刑台のエレベーター

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モノクロのフランス映画です。

 

後にリメイクがされていたりします。

そっちには阿部寛が出てきます。

 

 

リメイク前の本作は映画がまだ映画だった頃の、古き良き、とでも言われそうな感じです。

 

映画ってなんだっけ?とふと改めて考えてしまう感じにこれまた中身が無いのですが、今作に関してはそれで良いと思います。

 

映画って元々、高速で連写した写真をパラパラマンガ的に繋げたら映像みたい!すげー!

って喜んでたのがそもそもの始まりで、そっから技術の革新に伴ってどんどん音や彩度なんかは鮮やかになっていくんだけど、モノの内容としては、映画館での莫大な興行収入が無いとやってらんねーようなレベルの制作費を投じて結局は2時間ドラマを作っている、的な。

現代に近づくにつれこの感覚というか傾向は強くなると思う。

 

 

話が少し逸れたのですが、今回の死刑台のエレベーターはそうなる前の作品。

つまり、フィルム回したらスクリーンの映像が動いてキャストの声も聞こえ、物語が進んでいく、その物語の内容なんかより、目の前で起こるそれ自体が楽しまれていた時代の名残りを抱く作品というか。

 

そういった訳で特筆すべきあらすじや見どころもそんなに無い。

 

不倫に火がついて、邪魔な夫を殺そうぜ!良い完全犯罪プランがあるんだ…となり、いざ主人公が殺しを実行し逃げ帰るその途中、すごく絶妙な所でエレベーターが停止して閉じ込められてしまう。

このエレベーター停止によって、外で待つ不倫相手やその他色んな登場人物がちょっとした騒動に巻き込まれていく。元祖!とまでは言いませんが群像劇の側面も垣間見えます。

先に書いたように、この作品には今の映画に求められるような全米が泣く程の感動もラスト15分の衝撃も無い。なのでこれ以上あらすじや登場人物についてを書くと、ほぼ書いちゃってるやん!と観終わった人はなると思うので続きはご自身でどうぞ、とさせて頂きます。

 

加えてこの作品、音楽がマイルスデイヴィスの即興トランペットなんすよね。音楽のついてない状態の映像をマイルスに見せて「おら、なんか良い感じに吹いてみろよ」とアドリブをけしかけたらしいです。どんな怖い現場だよ…(※実際はこんなにブラックな依頼の仕方では無いはずです。俺が盛ってます。)

てかこのマイルスのペットが本当に良いんすよね…モノクロで描かれる美しいパリの街並みや登場人物の横顔にマイルスの即興が流れてくるだけで、嗚呼…自分はいま、大層高尚なフランス映画を観ているのだなぁ、という感覚に陥らせてくれます。

…フランス映画?好きだよ?死刑台のエレベーターとか。というイベントカードを手にする事も出来ます。

 

そういった、言わせてみれば邪な連中にもお勧めですし良い意味であまり何も考える事なく観る事が出来るので、情報過多な現代のアプローチに疲れた人の保養にもいいでしょう。

あと、マイルスデイヴィス的観点から言うとAscenseur Pour L’Echafaudというアルバムがこの映画のサントラにあたります。勿論このアルバム自体も素晴らしいのですが、前述したようにフィルムを観ながらマイルスが作った音楽なので実際に映像と観ると説得力が違います。そういったもうひとつの楽しみ方としてもお勧めします。

 

 

と、まぁある程度書いてみて思うのは

これ映画のレビューでは全くないよな。

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